--夕日に染まる鮮血の薔薇--
私は学校にいた。
何故だか分からないけど、気になっている男の子と2人っきりなのだ。
窓の外からは赤々とした夕日が差し込む。
いきなりの展開に私は驚きつつも、実は嬉しかったりしていた。
(何だかわかんないけど、今は2人っきりだ・・・。
思い切って告白してみようかな。ダメでもともとなんだし・・・。)
彼は黙ったままだった。
重い空気の中、こんなチャンスは2度と無いと思い、
意を決して告白してみた。
「私、ずっと好きだったの・・・。」
彼(名前は空くん)は明るくて、人気がある。
誰からも好かれるような人だった。
私も空くんに憧れる1人だ。
「・・・・・・・・・」
でも、返事をすることなく、空くんは教室を出て行ってしまった。
しばらくすると、空くんが戻ってきた。
そして、私に手紙を渡した。
「これ、俺の気持ちだから。」
(『俺の気持ち』って・・・(汗))
手紙にはこう書かれていた。
『気持ちは嬉しいけど、俺の好きな人は海さんだから。
俺は彼女に振られても、結婚できるまで頑張るつもりだから、ごめんね。
でも、友達にはなれるよね?』
私はショックだった。泣き出したかった。
でも必死に笑顔を作る。
「あ〜、そうなんだ。海さんね。
そうなんじゃないかな〜って前から思ってたんだ。やっぱりね〜。」
「ごめんね。」
本当に申し訳なさそうに空くんが謝る。
「ううん、気にしないで。言ったらスッキリしちゃった。
じゃあ、これからはお友達だね。」
「これから、よろしく。」
「こちらこそ、よろしくね。」
(こうなったら、私が空くんの1番の大親友になる!!)
そして、私達は『友達』になった。
でも、彼への想いは消えなかった。
いつの間にか、私達は本当に大親友になった。
お互いに色々な相談をしあう事もあった。
私は相変わらず彼の事が好きだった。
でも、今の関係を壊すつもりも無かった。
気持ちを一生隠し通して、友人でいることを決めたのだ。
そんなある日の事、
私の住んでいる集落でレースが行われる事になった。
何でも『1位になった者はどんな願い事でも叶えてもらえる』らしかった。
田舎の小さな集落にそんな凄い事が出来るものなのかと怪しかったが、
当日は多くの人が集まっていた。
(出るだけ無駄なのに・・・。)
呆れながら周りを見るとそこには空くんがいた。
誰かを探しているらしかった。
(まさか・・・空くんもレースに出るのかな?)
よく見ると、額に汗が滲んでいる。
息も切らしていて何処かから急いでやって来たようだった。
(あっ、目が合っちゃった。
私もこのレースに出ると思われたかなぁ・・・?)
空くんは私を見つけるとこっちへ向かってきた。
「月ちゃんもレースに出るの?」
「私は出ないけど・・・。空くんは?」
するといきなり肩を掴まれ
「お願いだ!!僕のためにレースに出てくれないか!?
どうしても叶えてもらいたい事があるんだ!」
と、頼まれてしまった。走ったりするのが嫌いな私は迷った。
「えっ?どうして?」
「ここでは話せないんだ。こっちへ。」
人が周りにいない事を確認した空くんは事情を話してくれた。
「実は僕、今、人を殺してしまったんだ。
だから願いを叶えてもらえるなら、罪を消して欲しいんだ。」
言葉が出なかった。
まさかあの空くんが人を殺すなんて・・・。
「もう、君しか頼れる人がいないんだ・・・。」
空くんは今にも泣き出しそうだった。
(大事な人が困っているんだ・・・。
私が何とかしてあげなくちゃ!!)
「分かった。任せて。絶対優勝して願い事かなえてもらうからね!!」
かくして、私は彼のためにレースに出る事になってしまった・・・。
レースの内容は『指定された赤い花を持ってゴールした人が勝ち』という
極めてシンプルなものだった。
と思ったのも束の間、その赤い花の名前が聞いた事の無いものだった。
実行委員の話によると、『和名ではなく学名だから難しい』らしい。
(優勝するからって言ったのに、もうダメなの〜?
どうして、私ってこんなにバカなんだろう・・・(泣))
とにかく、ゴールまでの道を走る事にした。
すると、空くんが私の所へやって来てこう言った。
「赤い花の名前なら分かったから、一緒に行こう。」
(なんで、そんな難しい事知ってるの!?
はぁ〜、頭良いんだなぁ・・・。)
赤い花の問題は解決した。
後はそれを手に入れて、ゴールするだけ。
赤い花はコースの何処かに咲いている。
これを探して手に入れるのだ。
いつもは遅い私の足も、今この時だけはとてつもなく速かった。
「月ちゃん、あった!!」
コースを半分以上、走ったところで呼び止められた。
「どこどこ!?あっ、コレ・・・?」
目の前には見たことも無いような大きなバラが咲いていた。
しかも、これまた大きな棘があちこちに生えているのだ。
「ねぇ、空くん。コレを千切らなきゃいけないんだよね・・・?」
「うん・・・悪いんだけど月ちゃんが千切ってくれるかな?
僕、手を痛めてて・・・。」
「うん・・・分かった・・・。」
(コレを素手で千切るの〜?痛そう・・・(汗))
『ブチッ』
「いった〜い!!!(泣)」
私の手にたくさんの棘が刺さり、血が出てきた。
「大丈夫?でも、これで優勝できるね!!」
「う・・・うん。」
痛かったけど、役に立てた事がすごく嬉しかった。
「私、この花持って先に行ってるよ!!
1位になったら、絶対願い事叶えてあげるね!!」
疲れていた空くんに少し休んでもらっている間に
私が1位になってやるんだと私はゴールを目指した。
どれくらい走っただろうか・・・。
体力の限界を私は感じていた。
(疲れた・・・。もうダメ・・あっ、あれは!?)
少し先にゴールと書かれた布が見えた。私は今1位だった。
後ろには、40代のおじさんが私に迫ろうとしていた。
頑張ってスピードを上げ、ゴールまであと20メートルという所で
おじさんが私より先にテープを切った。
(うそ・・・私の方が先だったのに・・・負けたの?うそ・・・)
おじさんは委員の人に赤い花を差し出していた。
(あれが指定された花じゃなくて彼岸花だったらいいのに!!)
食い入るようにおじさんの花が指定のものだったのかを見つめていた。
委員がおじさんに呆れた様に言った。
「ダメですよ〜。これ彼岸花じゃないですか。
それにあなた、ズルしたでしょ?
近道だからといってコースから外れちゃダメですよ。
はい、もう一度花から採ってきてくださいね。」
私が思っていた通りにおじさんの花が彼岸花だったことがすごく嬉しかった。
今度こそ本当に私は1位になったのだ。
手を痛めて採ってきた花を委員に渡した。
「はい、ちゃんと指定された花ですね。
おめでとうございます!!あなたが優勝です!!」
(やった〜!!空くんは!?あっ、いた!!)
いつの間にか空くんはすぐ近くにいた。
「空くん!!優勝したよ!!願い事叶うね!!良かったね!!」
優勝した事を告げると空くんは本当に嬉しそうに笑った。
「ありがとう。君のお陰だよ・・・。」
『グサッ!!』
(えっ・・・・・・・・・・・・・・?)
私のわき腹からはあのバラのように赤い血が流れていた。
「本当にありがとう。もう君は・・・用済みだよ・・・。」
その声を聞いて、私は意識を失った・・・。
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